2011

2011/1/1
年末年始はお笑いの特番をやるので嬉しい。ポッキーのテレビコマーシャルにYMOが出ていた。
 
1/3
原宿。TOKYO BOPPERで靴を買った。人が多すぎて五分くらいで帰った。正しさと優しさが必ずしも一致しないのがつらい。
 
1/4
新宿。高島屋で蕎麦を食べ、喫茶店で紅茶を飲んだ。勉強したいのだが眠くなってきてしまった。このまま眠れたらどれだけ気持ちがいいだろう。わたしの失態に対し、表面化されない軽蔑があるように感じられる。
 
1/15
センター試験だった。行ったことが無い場所で知らない人たちに囲まれ、長時間座っていたので疲れた。わたしの通っている学校の生徒はうるさい人が多いと思った。
 
2/1
初めての入学試験だった。行く前は少し緊張したが、会場に着いたら落ち着いた。あんまり寒くてコートを着てマフラーを巻いて受験したが、そんな出で立ちは自分だけだった。メルトバナナを聴きながら帰った。
 
2/7
朝から全身が怠く、薬を飲んで終日休んでいた。暗い部屋で考え事をしていると、ありもしない妄想に取り憑かれて息が出来なくなる。でも体を起こして灯りを点けることがままならない。先程ようやくPCを使う気力が起こった。先日受験した大学から合格の報せがあった。
 
2/13
適当な言葉が見つからない時、他の人はどうするのだろう。思ってもいないことを言ってお茶を濁すのだろうか。わたしはいつも黙ってしまう。怖くなってその場を去りたくなる。どう答えればあなたが満足なのか訊きたい。その通りに答えるから。相手がわたしの愚かさを察して見下してくれるのを感じ、安堵する。
 
2/15
昨日で一通りの試験が終了。日本橋と神保町に行った。久しぶりのジャニス。
 
2/16
新宿で映画。帰りに菓子屋でりんごジュースとラズベリーのタルトを買った。
 
2/20
とりあえず第一志望校にしている大学に受かった。良かった。よく学校の図書室で一緒に勉強していた友人も志望校に合格したと電話があり、併せて良かった。
 
2/23
学芸大前。イギリスの輸入雑貨を取り扱う店でノートとチョコレートを買った。店主が優しい人だった。
 
2/25
部屋の隅で、猫くらいの大きさの鯨が暴れているせいで部屋中水浸しになっている。明日ダスキンの清掃が来るからやめて欲しいと何度も言っているのに全然話を聞いてくれない。
 
3/1
原宿。先日春一番が吹いたというのに、今日は雪が降った。震えながら珈琲を飲んだ。
 
3/2
過日、状態のよい参考書や問題集を母の知人の娘に譲ったところ、お返しにクオカードを貰った。池袋のジュンク堂へ行き、リルケの詩集と萩尾望都の漫画を買った。喫茶店で扉付近の席に座ったら、客が出入りするたびに冷たい風が吹き込んで寒かった。
 
3/12
昨日、大きな地震があった。たくさんの人が死んだ。わたしは春休みだというのに友人と合格の報告をするのに高校に居て、帰れなくなり教室で一夜を明かした。テレビのニュースを観ていると気が滅入るので、みんなで余った模造紙に絵を描いて遊んだ。携帯電話が繋がらないため、学校に一台だけある公衆電話に並んで家に安否の連絡をした。皆長いこと話し込んでいたが、わたしは二言三言で電話を切ったので非情な人間だと思われてしまった。先程ようやく帰宅した。日本人の歌が聴きたくてP-Modelとaunt sallyを聴いた。
 
3/18
明日、といってももう午前四時なので今日だが、高校の卒業式。送別会も謝恩会もすべて中止になった。式自体も簡略化するらしい。出席出来ない人もたくさん居る。何の疑いも無く予定された行事が滞りなく行われるということ。日々当たり前のことが当たり前では無くなっていく。長い時間をかけて復興するんだろうけど、もう震災前には戻れない。
卒業式が終わり帰宅。学校は嫌いだが、やはり震災のこともあってか、こんな状況で慣れ親しんだ場所を去らなくてはいけないというのは、とても心細く不安だ。大きくて温かいものに抱かれて眠りたい。
 
3/27
最近はまた自堕落な生活を送っていて、正午頃起床、二時間程ベッドの中でぼんやりし、昼食をとり、お菓子と緑茶を飲み、炬燵で読書、そのまま寝てしまって夕飯。また読書しているうちに朝になり、眠る。
 
3/29
長期休暇は自意識が肥大化するばかりで疲れる。大学の入学式は中止になり、五月まで授業が始まらないらしい。アルバイトでもしようかと思うが気力も無いし、未だ震災の影響が色濃く残っており目星い募集先も見つからない。急を要するわけでも無いので相変わらず自室に引きこもっている。綺麗な物に触れたい。
 
3/31
気分転換に早稲田松竹で映画を観た。風が暖かく、もう春なのだと感じる。自宅の高くでは見かけないが、桜ももう咲いているのだろうか。
 
4/1
大学で入学者説明会があった。帰りにカンペールで鞄を買った。友人に勧められ、桜庭一樹という人の本を読んだが面白くなかった。
 
4/21
高円寺。中学生の頃よく服を買ったりライブを観に来たりしていたが、久し振りに来た。カレーを食べて、カレーを食べるのに向いていそうな皿を買った。
 
4/22
胃痛に加え貧血気味。mogwaiを聴きながらぼうっとしていた。いつにも増して人と会話する気にならない。四月も終わりに近づいているというのにまだ寒い。日差しはある程度春めいてきたように感じるが、風は暖かいというよりは単に湿気を孕んで薄暗く、冬が立ち去ってしまいいたずらに時間が過ぎているだけのような気がする。計画停電はまだ終わらない。
 
4/29
入学者説明会で隣の席になった子の付き添いで、軽音楽サークルの新入生歓迎会に参加した。中学一年生の頃に軽音楽部に入ったが、協調性が無いために一ヶ月で退部した身なので入部する気は更々無かった。ただ居れば良いと思っていたら、自己紹介をすることになってしまい最悪だった。名前と学部学科を言うのはまだ理解出来るが好きなミュージシャンも言わなくてはならず、何が有名なのか分からなかったので今朝聴いていた人の名前を挙げたら物凄く白け、悲しい気持ちになった。予想はしていたが大勢の人が集う飲み会は最悪だった。これからもなるべく参加しないようにしようと思った。
 
5/7
授業が始まった。
 
6/29
高校の友人とその彼氏と会った。友人の手帳には彼氏の、彼氏の手帳には友人の予定が書いてあり、それはかつて彼女とわたしがしていたことだった。友人は別れ際、彼氏の乗る電車のホームまでわざわざ彼を見送りに行き、それもかつて彼女がわたしにしていたことだった。もうお互いの予定なんて一つも知らないし、電車が来るのを一人でぼうっと待って帰った。
 
7/24
十時起床。原宿で洋服と下着を買った。GAP前の交差点で大きくて白いボルゾイを見た。帰宅すると高校の友人から電話が掛かってきた。彼女に会いたいと思った。二年前だっただろうか、彼女の家に泊まりに行ったことがあった。夜更かしした次の朝、わたしはベッドで漫画を読んでいる。彼女は台所でミートソースのスパゲティを作っている。その香いがする。ドアが開き彼女がこちらへやって来て、スプーンに掬ったミートソースをわたしの口にそっと流し込む。美味しいよと言う。彼女は嬉しそうに台所へ戻り作業を開始する。懐かしい音楽が掛かっている。
 
7/27
先輩と公園で話をしていたら会話が弾み、終電に乗れなかった。夜行バスで知人の家へ行き、海外ドラマを観ながら寝た。
 
8/8
近所を散歩した。気付いたら隣の区に来ていた。明るい所から人が溢れ出て来たからなにかと思い見ると、駅があるらしかった。老人が植物に水を遣っている。酷いフォームで走る青年。怒った顔をした女。滑り台の上に車。少しずつ夜になっていく。
 
8/11
吉野朔実「少年は荒野を目指す」を読んだ。足の爪が鬱血している。
 
8/12
吉野朔実「恋愛的瞬間」を読んだ。「人は会うべき人にしか会わない だからいつでも自分が行きたい場所に行くんだよ そこに恋人はかならずやってくる」
 
8/17
何が正しいのか分からない。欲しいものは分かる。それが手に入らないことも分かる。その事実がわたしの心を悲しませることも分かる。生命を維持するために生じるすべてに繋がっている現象の先に、いつも悲しみがある。その上で何をすべきか、何かすべきことが残されているのかが分からない。
 
8/23
卵を開くと、中には白い塊を抱いた蜥蜴の子が眠っている。外気に触れた子どもは徐々に腐り、溶け、やがて形を失う。わたしはこの光景に深い憤りを覚えながらも、再び己の空想に現れるのを渇望している。
 
9/7
原宿。ヤン・シュヴァンクマイエルの展示を観た。ポストカードを二枚購入した。
 
9/18
一週間後に後期の授業が始まる。俄かに信じ難い。宿題が何一つ終わっていない。大学生になってまで夏休みの宿題に生を脅かされるとは思っていなかった。
「あなたがたは皆人を慰めようとして、かえって人を煩わす者だ」ヨブ記 第十六章一―二節
 
9/24
帰宅して靴を脱ぐと、足の甲が傷だらけだった。今年の夏はよく出掛けた。もうそろそろサンダルは仕舞おうと思った。レイハラカミによる「終わりの季節」のカバーをよく聴いた。
 
9/26
あんなに待ち遠しかった秋がいざ来てしまうと鬱屈とする。涼しい風が、長い袖が肌に触れる。母親が悲しむ姿を見るのがわたしと兄の人生だった。
 
10/4
初台。大学の先輩に連れられオペラシティで展示を観た。「長円の夜  oval night」という展示だったので、帰りにOvalを聴いた。
 
10/9
起床。誰とも話さない。薬罐に湯を沸かし、紅茶を飲む。
手向くるや むしりたがりし 赤い花(小林一茶
 
10/11
気分が悪い。記録していないことはすべて忘れているような気がする。自分には最初から自分しか居ない。日曜日にsakana のライブに行く。一つの物事に囚われる時間が長いせいで生活に歪みが生じ、あらゆる挙動のタイミングが合わなくなった。人生があまりにも長い。
 
10/18
終日雨が降っていた。気温は十八度しか無く寒かった。ベッドからなかなか出られず、気付いたら授業がすべて終わる時間だった。明日も明後日も授業、週末が来て、月曜日になる。その繰り返し。夜になるまで今日に慣れない。
 
10/15
タナカヒロシのすべて」を観た。「蘇州夜曲」を聴くととそれだけで感動してしまう。「月影のドンチュッチュ」という歌が良かった。
 
10/28
丸ノ内。三菱第一美術館へ行く。帰りに安居酒屋で秋刀魚を食す。ゲーテの「すみれ」という詩が良いと思った。
 
10/29
ドーナツを買い、食べながら山下和美不思議な少年」を読んだ。大学に行き、部室で鍋料理を作って食べた。
 
11/15
独語の授業で、とある人が長い文章を暗誦したのだけど、頭の中にある単語を必死に思い出そうとするせいか、語尾のイントネーションがすべて上がり調子になっていた。一度気になるとなかなか抜け出せず、心臓を引っ掻かれるようで気持ち悪くなってしまった。片足だけ点字ブロックを踏んでしまったら、もう片方の足も踏まないと気持ち悪いのと似ている。すぐにでも大声を出して彼女の発表を打ち切らせ、そのまま胃の内容物をすべて吐き出したのち気絶したかった。午前中の授業だったのだが、このせいで具合が悪くなり昼食を食べられなかった。
 
11/25
高田馬場早稲田松竹で「biutiful」を観た。打ち拉がれてしまい、大学に行けなかった。
 
12/9
一ヶ月振りの病院。頭がおかしいからかかっているのに、規則正しく予定を立ててその通りに通院せよとは酷な話である。帰りにドーナツと珈琲を買い、道端で一服していたところアルバイト先の客が通りかかった。派手な色のジャケットを着ていたからかすぐに気付かれたが、目を伏せて知らん顔してしまった。
 
12/19
先週の月曜日から咳が止まらない。寝ていても咳が出て目が醒める。薬局で風邪薬を買ったが少しも効かない。百日咳ではと母からメール。百日もこんな状態が続くのかと思うといっそ死んだほうがマシである。
 
12/23
新宿。高島屋で蕎麦を食べる。久々に会った友人から、幽霊に取り憑かれているようだと言われた。
 
12/27
阿佐ヶ谷。よるのひるねでカレーを食べた。
 
12/31
友人二名と映画を観、酒を飲んだ。