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仕事を辞めるに際し、有休消化ということで約一ヶ月間休むことになった。平日の昼間の静かな映画館で映画を観たり、人の少ない電車に乗って普段行かない所へ行くぞと意気込んでいたが、体調を崩してしまい寝所で愚図愚図していたらいつの間にか週末になっていた。既に夜型に回帰しつつあるのをどうにか昼前に起床し、化粧をして外に出た。先月末、友人の結婚式に出席したのだが酒を飲んでばかりで碌に水を飲まず、中途で頭痛とひどい倦怠感を覚えこれは熱中症になりかけているなと思った。数日ぶりの外出で体力も落ちているだろうと思い、いつもはスポーツドリンクで済ませるところを今日は経口補水液なるものを買った。飲むのは初めてだと思っていたがいざ口にしてみるとなんだか嫌な感があり、原因を考える前に東日本大震災を思い出した。震災が起こった日、大学受験の合否を報告したいという友人の誘いに乗り春休みだというのにわざわざ高校へ訪れ、帰宅出来ずに学校の教室で一泊した。その際口にしたのが乾パンと経口補水液だった。乾パンの中には数粒の金平糖が入っていて、この前金平糖を食べた時にも同じ気持ちになったのを思い出した。
電車に乗って銀座へ向かった。先日銀座へ酒を飲みに行った折、同じ建物に行ってみたかった喫茶店が入っていたのを知りそこへ行った。アイスコーヒーを飲み、本を読んだ。店内は冷房がよく効いていて寒く、体が怠くなり、あまり読書に集中出来なかった。喫茶店を出て買い物を済まし、並木通りを冷やかしていると花屋があるのを認めた。たまには花の一輪でも部屋に飾ろうかという気になったが、すぐに馬鹿馬鹿しくなって止した。平日の昼間に出歩くと、妊婦によく遭遇した。この暑い中歩くのは大変だろうと思った。俄かに柄物のワンピースが欲しく思い、適当な服屋に入った。かわいらしい柄のワンピースがたくさん置いてあったがどれも自分の好みでは無く、かわりに襟の形のよいブラウスを見つけたのでそれを買った。一定額以上の商品を購入すると扇子が貰えるらしく、茶色と緑色のと選ぶよう店員に言われ、どちらもそこまで好きな色では無かったので店員が最初に開いた茶色のほうを貰った。久しぶりの他人との会話が嬉しかったのか、柄にもなく世間話のようなものを少しした。映画でも観て帰ろうかと思ったが、今やっている映画を調べる気にもならず、疲れて眠たくなってきたので帰宅した。ちょうど18時前頃の電車に乗ったせいか乗客は会社員が多く、またこれに乗る生活に戻るのを想像し陰鬱たる気持ちになった。
帰宅して間もなく眠ってしまったが、すぐに目が覚めたので先週末秋田で買ったいぶりがっこを肴に、残り物の赤ワインを飲んだ。他人と自分との間にどのような違いがあるのか判らない。