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友人と会う予定だったが仕事が終わらないと言われ不意になった。わたしも今日は一人で過ごしたい気分だったからかえって良かった。

銀座に行った。伊東屋でポストカードを二枚購入し、資生堂でセルジュルタンスのdent de laitという香水を買った。元はセロファンの夜を買う予定だったのだが、思いのほか金木犀の香りが強く、芳香剤を連想せずにはおれなかったため断念。鉄の百合も気になっていたが売り切れとのことでこちらも泣く泣く断念。ツいてないなとぼんやりしながら何となく名前が面白くて嗅いだのがこの香水。乳歯と訳され売られていた。「とてもいい匂いの体臭」という印象の、今まで嗅いだことの無いような不思議な香りである。甘やかだが女性らしくも無い。高い体温。乳歯が生えていた頃の、男の体でも女の体でも無かった頃の香り。

 

商品の詩的な紹介文にはこうある。

「時計は長針と短針で時の流れを表す。/数週間もてあそばれたぐらぐらの乳歯は抜け落ち/舌に残るのはわずかな幼少期への倦怠感。/今、若い狼はミルクよりも血を求める。/ずっと愛した無垢なる私の一部、決して忘れない。」

幼少期のわたしは、ぐらつく乳歯を舌で転がすのと歯が抜けるのとが面白く、少しでもぐらついてきたら指で思い切り歯を左右に揺らしよりぐらぐらさせていた。もちろん歯茎は痛んだが、恐らくそれを含めての愉しみだったのだと思う。生まれつきどうしようも無い。