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先日初めて転勤というものを経験した。前の勤務先は年齢の近い人が多く、またやることも多かったので忙しなく騒がしく過ごしていたが、転勤先は歳上の人ばかりで仕事も少なくとても地味で静かだ。静かなのは結構だが、黙々とと言うほどやることも無く退屈で、そうすると止せばいいのに考え事を始めてしまい将来を憂いたりなんだりやや暗い気持ちになってしまう。これから明るく眩しい季節がやって来るのだから気持ちもそのように在りたいものである。夜、地下鉄の階段を上ると外がまだ明るい。それだけで救われたような気になる。色んな生き物がどこからか湧き出て、花や果物がすぐに腐る。過剰なまでに躍動する生命力。生き物が好きなのでとても美しい季節だと感じる。

近頃の楽しみと言えば、神保町乗り換えになったので帰りにミロンガで酒を一杯やることくらいである。慎ましい小市民の暮らし。不釣り合いなタンゴのメロディ。このまま誰にも見つからず恬として恥じず生きていくような気もするし、新しい誰かとアルコールが招くお手軽な狂乱に身を投じるような気もする。どちらに転ぼうと、またはどちらにもならなかろうと甘んじて受け入れるが、いずれの場合でもわたしはあなたが、間違い無くあなたが、変わらず友人で居てくれたら良いと思う。